鈴木郁子写真展「キダマサマ」

展示情報

ご無沙汰しております。
やっと夏らしい天気になってきましたね。

MFI鈴木さんより個展の案内いただきました。
なんと初個展。
楽しみですね~

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キダマサマ

木霊のことをある地方でこう呼ぶそうだ。
木霊は樹木に宿る精霊、またはその宿った樹木自体をいう。
古木になると神通力が生まれるという伝説や獣や人に姿をかえるという話もある。

樹木といっても、森や林のように人の生活から隔絶したものから街の街路、家の庭木など生活に密着したものまで実に様々ある。
一昨年、家の隣の空き地に植わっていた棕櫚(しゅろ)の木、枇杷の木、柿の木、楠木、みかんの木などなどが全部切り倒された。それはどうしようもないことだったのだけれど、その場所は40年程前にわたしのおばあさんが植えた木だとか、鳥の糞からかってに芽がでたりしたもので箱庭的雑木林のような場所だった。
しばらくの間、棕櫚(しゅろ)の木が倒されたときのドスンという音を思いだしては、悲しんで気持ちも塞ぎがちだった。そんなわたしに、ふとある思いが舞い降りてきた。そう樹木にとって40年50年なんて短いもの、だからそれを失ったからといってどうってことはないのだと。その懐の深さ強さこそ樹木なのだと、一気に心が晴れた思いだった。樹木がわたしに悟らせてくれたのではないだろうかと思っている。

今、家の周りには三本の木が二階の窓ちかくまで伸びて残っている。どれも境界の内側に立っていて伐採を逃れた木だ。三本とも鳥が落とした糞から芽吹いたものなのだが、雑木林があったころは低くて弱々しかったのに、それらがなくなると光と養分を十分に得られるようになったのだ。それぞれの種類はみかんの木だったり、道路の中央分離帯に植わっているような木だったり、おそらく楠木だったりだと思うのだが、家の各辺の中心に一本ずつ立ち、まるで眷属(けんぞく)神(かみ)のように守ってくれている気がする。

―キダマサマ―と題した今写真展は、樹木に対するわたしの感謝と崇拝をこめて作った。

2009年

                鈴木郁子

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鈴木郁子写真展「キダマサマ」

Gallery☆Limelight(大阪/帝塚山)

2009年8月30日~9月5日 9/2(水)定休日
時間:12:00~19:00

〒558-0053 大阪市住吉区帝塚山中4-1-4
TEL/FAX:06-6625-9162
http://gallerylimelight.web.fc2.com/index.html

Suzuki

Posted by mfi